福岡 テープ起こし & レンタル

福岡の片隅で、静かに営業を続ける小さな会社がある。「テープ起こし福岡」――その名の通り、テープ起こしサービスを提供している。毛羽山取彦は、かつて博多の放送局に勤めていた。番組制作に携わる中で、テープ起こしの重要性を痛感し、「自分なりのサービスを提供したい」との思いから、生まれ故郷の福岡に戻って起業したのだった。

それから20年。毛羽山は地道にサービスの質を高めてきた。放送局時代の経験を活かし、聞き取りにくい博多弁も正確に文字化する。県内の大学の研究者から依頼された専門的な内容も、しっかりと理解した上で丁寧に起こす。毛羽山の仕事ぶりは、まるで職人のようだった。音声という素材と真摯に向き合い、言葉という作品を紡ぎ上げる。その姿は、まさに言葉と向き合う職人の姿そのものだった。

ある蒸し暑い日、毛羽山のもとに一本の電話がかかってきた。福岡市内の大学の准教授、田中だ。「先日、学会で発表した内容を論文にまとめたいのですが、録音した音声が聞き取りにくくて…」と、困り果てた様子で依頼してきた。毛羽山は快く引き受けた。「お任せください。必ずや、先生のご研究に役立つ文章にして納品いたします」。

数日後、テープ起こしが完了した。毛羽山が丹念に音声を聞き、専門用語も正確に起こした。那珂川のせせらぎを聞きながら、お客様の言葉に真摯に耳を傾ける。言葉と向き合う時間は、毛羽山にとって至福のひとときだった。田中准教授からは、「素晴らしい出来栄えです。助かりました」と感謝の言葉が届いた。

毛羽山は思う。「言葉は、人の心を映す鏡のようなものだ。丁寧に言葉と向き合えば、相手の思いが見えてくる」。テープ起こしは、単なる文字起こしではない。話者の思いに寄り添い、言葉に命を吹き込む作業なのだ。

福岡の地で培った人情と誠意で、一つ一つの仕事に向き合う。それが、この小さな会社の変わらぬ姿勢だ。時代が変わろうと、技術が発達しようと、人の手と心で言葉に向き合う。それがテープ起こし福岡の信念であり、それ以外に優れたテープ起こし原稿を作る手段はないのだ。

毛羽山は、今日も言葉と向き合っている。彼の心には、お客様への感謝と、言葉への愛着がある。その思いが、丁寧なテープ起こしという形になって、福岡の地から世界へと羽ばたいていく。確かな一歩を刻み続けるテープ起こし福岡。その歩みは、きっと明日も続いていくのだろう。

※この物語はフィクションですが、大切にしていることはノンフィクションです。

文字起こしのこと